政党と政治団体の違いをご存じでしょうか?
選挙で必ず出てくる政党と政治団体。2024年10月27日投開票の衆議院選挙を前にわかりやすく解説しています。
知っているとこれまで興味のなかった選挙の見方が変わるかもしれません。
ぜひご覧ください♪
目次
1 政党と政治団体何が違う?
政党と政治団体って何が違うのですか?
政党を理解するには、まず政治団体から。
その理由は後から説明しますね。
2 政治団体とは?
政治団体というのは、政治活動を行う団体のこと。政治資金規正法に規定されています。
政治資金規正法
第三条(抜粋)
この法律において「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。
一 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体
二 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体
三 前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体
イ 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。
ロ 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。
うーん…
違いがよくわからない…
政治資金規正法第三条
一 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体
これは、政治活動を主な目的として活動としている団体のことで、一般的に言う政治団体のこと。1号団体と呼ばれています。
なるほど…
政治資金規正法第三条
二 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体
これは、普段は政治活動以外の目的を持って活動しているけれど、ある一時期に政治活動を行っている団体のこと。2号団体と呼ばれています。
公職の候補者の後援団体や後援会ですか?
そうね!
そして政治資金規制法第三条三号は1号、2号以外の団体ということで、3号団体と呼ばれています。
政治資金規正法第三条
三 前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体
イ 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。
ロ 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。
政治団体は活動によって大きく3つに分けられるということですか?
そうです!
これらの区分については「その政治目的が綱領、規約等に明記されるなど外見的に明らかなもの」によるとされています。
区分の仕方が難しそう…
政治資金規正法では、第三条規定の政治団体以外に、政治団体とみなされる団体というものも規定しています。
政治資金団体というのをテレビで聞いたことがあるような…
そうですね。
それも政治団体とみなされる団体のひとつです。
政治資金規正法
第五条(抜粋)
この法律の規定を適用するについては、次に掲げる団体は、政治団体とみなす。
一 政治上の主義又は施策を研究する目的を有する団体で、衆議院議員若しくは参議院議員が主宰するもの又はその主要な構成員が衆議院議員若しくは参議院議員であるもの
二 政治資金団体(政党のために資金上の援助をする目的を有する団体で、第六条の二第二項前段の規定による届出がされているものをいう。以下同じ。)
2 この法律の規定を適用するについては、法人その他の団体が負担する党費又は会費は、寄附とみなす。
https://laws.e-gov.go.jp/
一号は政治を研究する団体、二号は政治資金に関する活動を行う団体という理解で合ってますか?
そうです!
細かいことを言えば…
一号は国会議員が主宰するものまたは主要な構成員が国会議員である政策研究団体。
二号は政党から団体の指定を受け、総務大臣に届け出た政治資金団体をいいます。
…ということは
政治団体の分類としては政治団体が3分類、政治団体とみなされる団体が2分類、合計5つの分類ということですね!
惜しい!あともうひとつあるんです。
もうひとつですか!?
特定パーティー開催団体というのがあって、政治資金規正法第十八条の2に規定される政治団体にみなされる団体があるんです。
政治資金規正法
第十八条の二(抜粋)
政治団体以外の者が特定パーティーになると見込まれる政治資金パーティーを開催する場合には、当該政治団体以外の者は、当該政治資金パーティーについては、当該政治資金パーティーを開催しようとする時から政治団体とみなして、この章(第六条第五項、第六条の二、第七条の二、第十二条第一項第三号及び第三項、第十四条、第十六条第二項、第十七条第三項並びに前条の規定を除く。)の規定(これに係る罰則を含む。)を適用する。政治団体以外の者が開催する政治資金パーティーが特定パーティーになつたときも、同様とする。
https://laws.e-gov.go.jp/
政治資金パーティーなら聞いたことあります!でも特定パーティーって初めて聞きました。
特定パーティーも政治資金パーティーのひとつなんですが、政治資金パーティーのうちパーティー券収入の金額が1,000万円以上と見込まれるものをいい、政治資金規正法第十二条に規定があります。
えーっと…
つまり、特定パーティーを開く団体が政治団体とみなされる団体になるということですか?
そうですね!
なので、パーティー券収入金額が1,000万円以上と見込まれる場合は、開催しようとするときから政治団体とみなされるため、政治団体の届出が必要になります。
なるほど…
政治団体が3分類、政治団体とみなされる団体が3分類ってことですね!
政治団体
- 一般的な政治団体(1号団体)
- 公職の候補者の後援団体など(2号団体)
- 1、2号団体以外の団体(3号団体)
政治団体とみなされる団体
- 政策研究団体
- 政治資金団体
- 特定パーティー開催団体
3 政党とは?
ここからやっと政党の説明に入ります。
政党について総務省のホームページには次のように表記されています。
政党
次のいずれかにあてはまる政治団体
政治団体の種類 総務省
(1) 所属国会議員が5人以上
(2) 前回の衆議院議員総選挙(小選挙区・比例代表)、前回又は前々回の参議院議員通常選挙(選挙区・比例代表)のいずれかの全国を通じた得票率が2%以上
http://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/naruhodo04_2.html
最終閲覧日:2024年10月13日
あ!なるほど…
政党は政治団体であることが前提だから、先に政治団体の説明だったんですね!
はい!
政治団体の規定に比べたら、シンプルですね♪
私もはじめはそう思いました。
でも、この政党…
公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法など法律によって若干規定が異なっていることに注意が必要なんです。
え!政党の規定ってひとつじゃないんですね…
はい…
法律の目的が何なのか、というところです。
ひ、ひとつずつ理解していきます!
公職選挙法の政党に関する規定は第86条に規定されています。
公職選挙法
https://laws.e-gov.go.jp/
第八十六条(抜粋)
衆議院(小選挙区選出)議員の選挙において、次の各号のいずれかに該当する政党その他の政治団体は、当該政党その他の政治団体に所属する者を候補者としようとするときは、当該選挙の期日の公示又は告示があつた日に、郵便等によることなく、文書でその旨を当該選挙長に届け出なければならない。
一 当該政党その他の政治団体に所属する衆議院議員又は参議院議員を五人以上有すること。
二 直近において行われた衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は参議院議員の通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政党その他の政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であること。
要件としては…
政治団体のうち
衆議院議員または参議院議員が5人以上いること
直近に行われた衆議院選挙か参議院選挙の得票総数が有効投票数の2パーセント以上あること
このどちらかに該当すれば公職選挙法では政党ってことですね!
そのとおりです!
そして、選挙で小選挙区と比例代表との重複立候補が認められるための重要な要件になります。
政治資金規正法の政党に関する規定は第3条にあります。
政治資金規正法
第3条(抜粋)
2 この法律において「政党」とは、政治団体のうち次の各号のいずれかに該当するものをいう。
https://laws.e-gov.go.jp/
一 当該政治団体に所属する衆議院議員又は参議院議員を五人以上有するもの
二 直近において行われた衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙若しくは当該参議院議員の通常選挙の直近において行われた参議院議員の通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であるもの
政治団体のうち…
衆議院議員または参議院議員が5人以上いること、と…
ん???
公職選挙法での規定とは明らかに違いますが…
直近に行われた衆議院選挙と参議院選挙…の直近?
直近の?…直近?
わかりづらいですよね…
つまり
前回の衆議院議員総選挙の小選挙区と比例代表
前回又は前々回の参議院議員通常選挙の選挙区と比例代表
このいずれかの全国を通じた得票率が2%以上
ってことなんです。
なるほど!
衆議院選挙は前回までだけど、参議院選挙は前々回までさかのぼっていいってことですね!
まとめると
政治団体のうち
衆議院議員または参議院議員が5人以上いること
または
前回の衆議院議員総選挙の小選挙区と比例代表、前回又は前々回の参議院議員通常選挙の選挙区と比例代表のいずれかの全国を通じた得票率が2%以上であること
となります!
政党助成法では政党交付金の交付対象となるものを定めています。
政党助成法
第二条(抜粋)
この法律において「政党」とは、政治団体(政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第三条第一項に規定する政治団体をいう。以下同じ。)のうち、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
https://laws.e-gov.go.jp/
一 当該政治団体に所属する衆議院議員又は参議院議員を五人以上有するもの
二 前号の規定に該当する政治団体に所属していない衆議院議員又は参議院議員を有するもので、直近において行われた衆議院議員の総選挙(以下単に「総選挙」という。)における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙(以下単に「通常選挙」という。)若しくは当該通常選挙の直近において行われた通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であるもの
これもまたビミョーに違いますね…
政治団体のうち
衆議院議員または参議院議員が5名以上いること
または
一号に該当する政治団体に所属していない衆議院議員または参議院議員が所属していて…
前回の衆議院議員総選挙の小選挙区と比例代表、前回又は前々回の参議院議員通常選挙の選挙区と比例代表のいずれかの全国を通じた得票率が2%以上であること
でしょうか?
正解です!
法律によって政党の規定がこんなにも違うんですね…
そうですね。
政党助成法の政党、つまり政党交付金を受けるためには「法人格」を取得した政党でないとダメという決まりもあります。
選挙に関する法律は深いですね…
政治資金規正と政党助成法では政党なのに、公職選挙法では政党でないという理由から党首討論会に出席できなかったという事例も過去にありました…
日本記者クラブによると、1日の党首討論会の対象は公職選挙法で「政党」にあたる団体の代表とした。このため、党首討論会に参加したのは8党で、政治資金規正法と政党助成法では政党にあたる新党改革の荒井広幸代表は参加しなかった。
新党改革、公選法上の政党要件満たさず 重複立候補も禁止 日本経済新聞
公選法は第86条で「政党」の要件を(1)国会議員が5人以上(2)前回の衆院選または参院選で有効投票の2%以上を得ている――のどちらかを満たすことと規定。政治資金規正法と政党助成法は得票率の対象となる参院選を前々回のものも含むなど、法律によって「政党」の定義が異なる。
公選法で「政党」にあたらない場合、小選挙区と比例代表との重複立候補も認められない。新党改革は「(政党要件が)総務省は整理できていない」として、公選法のあり方に異議を唱えている。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H5N_R01C14A2PP8000/
2014年12月1日(最終閲覧日:2024年10月13日)
4 まとめ
ご理解いただけましたでしょうか?
はい!
政党は政治団体であることが前提です。
そして、政党は各法律によって規定の違いがあるので要注意ということがわかりました!
- 衆議院議員または参議院議員が5人以上いること
- 直近に行われた衆議院選挙か参議院選挙の得票総数が有効投票数の2パーセント以上あること
いずれかにあてはまる政治団体
- 衆議院議員または参議院議員が5人以上いること
- 前回の衆議院議員総選挙の小選挙区と比例代表、前回又は前々回の参議院議員通常選挙の選挙区と比例代表のいずれかの全国を通じた得票率が2%以上であること
いずれかにあてはまる政治団体
- 衆議院議員または参議院議員が5名以上いること
- 一号に該当する政治団体に所属していない衆議院議員または参議院議員が所属しており、前回の衆議院議員総選挙の小選挙区と比例代表、前回又は前々回の参議院議員通常選挙の選挙区と比例代表のいずれかの全国を通じた得票率が2%以上であること
いずれかにあてはまる政治団体
選挙を理解するってなんだか難しそうで…勉強しなきゃとは思いながらずっと先延ばしにしてきていました。
でも、いちど理解してしまうとなかなか面白いですね。
今回とっても勉強になった本をご紹介します!ぜひ読んでみてくださいね♪
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