まさかのまさかでした。ジャーマンシェパードを育てたことがある私が「育犬うつ」になるなんて…
今現在生後6か月のジャーマンシェパードのスマイルさん。彼女を育てる中で、先代の「ハピネスさん」では感じなかった育犬のプレッシャーや孤独感に悩む日々。 可愛くて大切な家族である一方、毎日の生活やしつけにストレスを感じ、心が疲れる瞬間が多々ありました。そんな私が経験した育犬うつの現実と、そこから少しずつ心を楽にしていった方法をお伝えしたいと思います。同じ悩みで苦しむ飼い主さんも、愛犬との人生をもっと穏やかに楽しめるように、この記事が少しでもお役に立てますと幸いです。
目次
育犬うつとは
1-1 育犬うつの概要と一般的な原因
「育犬うつ」とは、愛犬を飼うことで生じる心の疲労で、特に愛犬が成長して飼い主の力ではコントロールしづらくなった時に生じやすいものなんだそうです。私もスマイルさんが生後5か月を過ぎて体重が23キロに達し筋力も増え、リードを引っ張る力が段違いに強くなってきた頃じわじわとその傾向が出てきたように思います。おかげでリードを持つ手はマメまでできる始末。お散歩中に他のワンちゃんや通り過ぎる車をものすごい勢いで突然追いかけようとしたり、お散歩の方向は前に後ろに左に右に…子犬は好奇心旺盛であるがゆえに全く行動が読めません。そしてお散歩から帰ってきても運動量が足りなかったのかノルウェージャンフォレストキャットの「ネルさん」と大運動会が繰り広げられる姿に「もう好きにして…」と叱る気力もなくなってストレスが一気に増えました。このような「コントロールが難しい」と感じる瞬間が積み重なって、心身ともに疲弊していったのだと思います。
1-2 育犬うつに陥りやすい状況と背景
私の場合、12年ぶりの子犬育てで、しかも先代の「ハピネスさん」の落ち着いたシニア犬の姿に慣れ過ぎていたため、スマイルさんのエネルギッシュな行動とのギャップに私自身が追いつけず、次第に育犬に対する不安が募りました。こうしたギャップがあると、ペットへの愛情と負担感が入り混じり、ストレスを抱えやすくなるようです。
2. 育犬うつの原因を探る
2-1 自分のライフスタイルとの衝突
毎日の生活の中で、「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込んでしまうことも育犬うつの原因と言われています。仕事で疲れ果て帰宅した時も、スマイルさんは元気いっぱいで、「早くお散歩に行こう!」「ごはん早くちょうだい!」とせがむ様子にすぐに応える余裕がないこともありました。大切な家族なのに思うように応えられない自分に、「どうしてできないんだろう…」と落ち込むこともありました。
2-2 先代犬との比較と子犬の行動
特に私を悩ませたのは、先代犬ハピネスさんとのギャップ。ハピネスさんは11歳というシニア期で落ち着きもあり子犬期のしつけも比較的手もかからず問題行動も少なかったように記憶しています。一方、スマイルさんはハピネスさん以上に好奇心旺盛なため家族に似た人や車を見ると持ち前の瞬発力ですぐ飛び出してしまう、散歩中も右へ左へと引っ張るといった行動に必死で対応する日々でした。「どうしてこんなにも言うことを聞いてくれないの?ハピネスさんはこんなことなかったのに…」という苛立ちが募り、笑顔で接する余裕が少しずつ失われていきました。
2-3 経済的・時間的な負担
ジャーマンシェパードは食費はもちろんのこと、しつけや健康管理にかかる費用が思った以上にかかります。特に健康面では消化器系にトラブルを抱える子が多く、スマイルさんも我が家に来て1か月は通院の日々でした。通院にかかる費用はまだ子犬なので高額ではありませんが、通院にかかる時間については積み重なればそれなりの負担だったのだと思います。
3. 育犬うつの症状とサイン
3-1 初期の気持ちの変化と負担感
ふわふわでモコモコのかわいかったスマイルさんが急成長し、力も強くなってきたことで、自分では対処しきれないと感じることが増えました。散歩中に予想外の方向へ引っ張られたり、家でもエネルギーを持て余しているスマイルさんに手を焼く日々が続きました。最初は「少し叱ればわかるはず」と思っていたものの、いつしか叱る頻度が増え、叱る声も大きくなり、叱る言葉遣いもどんどん荒くなっていき、生まれてまだ6か月しか経っていない子犬にムキになって厳しくしすぎた自分が情けなくなる日も少なくありませんでした。
3-2 精神的・身体的な負担
心の余裕がなくなっていくと、スマイルさんを愛しているはずなのに「かわいがれていないのかも…」と罪悪感が生まれました。叱ることが続くと、「ハピネスさんのときはちゃんとできたのにどうしてスマイルさんにはできないんだろう…」と飼い主としての自信も揺らぎ、「しつけができない自分が悪い」と思うようになり、精神的な負担が増していきました。
3-3 家族への影響
次第にスマイルさんのお世話で感じるストレスが家族にも向かい始め、イライラをぶつけてしまうこともありました。その結果、ついに家族に正直に「スマイルさんのしつけがハピネスさんみたいにうまくいかない。つらい。」と打ち明けました。すると、家族も私の辛さに気づいてくれ、一緒に解決方法を考えてくれるようになりました。この出来事で、一緒に育てる家族や周囲のサポートが大切だと改めて実感しました。
4. 育犬うつの予防と対策方法
4-1 無理せず代替案を考える
私が実感した育犬うつを防ぐためには、何はともあれ「無理はしない」。自分一人で悩みを抱え込んで無理をするのが一番よくないことでした。 そして「ほかに方法があるとしたら?」を考えること。私の場合、お散歩で引っ張られ右往左往されるのが一番苦痛だったので、リードをそれまでのものよりも長いものにして安全な場所では長さを伸ばして私の動く範囲を狭めることでものすごくラクになりました。たった数十センチの違いでここまで変わるとは思わず、大げさかもしれませんが当時の私にとっては感動ものでした。「もう…どうしたらいいのか分からない」よりも「私はどうしたい?方法があるとしたらそれは何?」と言葉一つ変えるだけで脳がそのヒントを探し始め答えが見つかりやすくなるようです。引っ張り癖問題が少し解決したことをきっかけにスマイルさんとの生活も少しずつ余裕が生まれるようになり、育犬の負担が和らいでいきました。
4-2 プロのアドバイスを受ける
家族に辛さを打ち明けた後、スマイルさんのブリーダー兼ドッグトレーナーさんにもアドバイスをいただきました。スマイルさんのブリーダーさんはスマイルさんの行動がスマイルさんのパパ似だったりママ似だったり、性格的な面や環境面などからもきめ細やかにアドバイスいただきました。スマイルさんの困った行動について専門家のアドバイスを得ることで、少しずつスマイルさんとの生活に自信が戻り、安心して向き合えるようになりました。
4-3 他の飼い主さんと情報交換する
同じような悩みを持つ飼い主さんと交流し、共感や励ましを得ることも大きな支えになりました。特に、ジャーマンシェパードと一緒に暮らす他の飼い主さんから子犬時代の話を聞いたり、私と同じように現在進行形でジャーマンシェパードの子犬を育てている飼い主さんの話を聞くことで、「自分だけじゃないんだ」と感じることができ、焦りや孤独感が和らぎました。
5. 育犬うつを乗り越えるための具体的な対策
5-1 自分のためのセルフケアを意識する
これは家族に言われたことで私も確かにそうだよね…と思ったことが、育犬生活に真剣に向き合うためには、自分自身を労わることが大切だということ。「育てる側が元気で健康でないと、育てられるスマイルも元気で健康にならないよ」と。それからは短時間でもリラックスできる音楽を聴いたり、気分転換にとっておきの紅茶を飲むなど、ちょっとしたリフレッシュを取り入れることで、スマイルさんとの時間にも心の余裕を持てるようになりました。
5-2 スマイルさんのしつけにおける前向きな取り組み
トレーナーさんのアドバイスを受け叱る回数以上に褒める回数を増やし良い行動を伸ばすという方向に切り替えました。飛びかかろうとしたり指示に従わない場面があって叱ったとしてもそれ以外のアイコンタクトが取れた時やほかのワンちゃんに向かって行かなかった時など小さなことでも褒めまくって今は指示に従わないことに焦らずスマイルさんの個性にしっかり向き合うことを心がけました。この変化によってスマイルさんとの関係も徐々に良い方向に進むことができました。
5-3 スマイルさんとの生活を楽しむために「まあいいか」
自分とスマイルさんの時間をうまく調整することで、無理をせずお互いが安心できる生活スタイルが整ってきました。完璧を求めず、「できるところまででまあいいか」という気持ちでいることが、心の負担を減らすのに役立ちました。
まとめ
育犬うつは、愛犬への愛情と現実の負担が入り混じって、ふとした瞬間に心が追いつかなくなる経験です。私もスマイルさんが成長し、想像以上に力強くなってから、「愛しているのに、どうして?」という思いに苦しむ日が増えていきました。お散歩中に引っ張られたり、家で大運動会が始まるときのイライラ、しつけがうまくいかない自分への苛立ち…その積み重ねが、私の心を疲弊させていったように思います。
そんな中、家族に正直に「育てるのが今は辛い」と話すことで、一人で抱え込むことをやめ、プロのトレーナーに相談したり、他の飼い主と交流を持つことができました。思い切って自分の気持ちをさらけ出すことで、少しずつ「頑張らなくても良い」という安心感を持てるようになり、スマイルさんとの日々に前向きに向き合えるようになったのです。
育犬うつを乗り越えるためには、まず「自分を大切にする」ことが大切です。育犬のためにセルフケアを怠らない、自分の心が疲れたときには休む、そして他の人や専門家に助けを求めてもいいということ。育犬うつは決して「愛犬を愛していない」証ではなく、「もっと愛犬のために頑張りたい」という思いから生まれるものではないでしょうか。
愛犬と共に穏やに幸せな毎日を過ごすために、心の負担を少しずつ和らげながら、愛犬の子犬期を楽しんでいきましょう。あなたの心が少しでも軽くなり、育犬生活が楽しく充実したものになりますように。