ジャーマンシェパードを恐れない猫「ネル」さんの秘密

ノルウェージャンフォレストキャットの女の子「ネル」さんの写真です。

記事内に広告を含みます

ネルさんは生後6か月のノルウェージャンフォレストキャットの女の子です。

先日お迎えした生後3か月のジャーマンシェパードの女の子「スマイル」さんには初対面にもかかわらずご挨拶することができました。

ネルさんよりもはるかに大きく力も強いスマイルさん。

そんなスマイルさんでもネルさんは臆することなく、むしろ歓迎するかのように近づいていったのでした。

その秘密はネルさんの過去にありました。

ジャーマンシェパードの「ハピネス」さん

2024年、生後2か月のネルさんが我が家に来たとき、彼女を歓迎したのは私たち家族と11歳になるジャーマンシェパードの「ハピネス」さんでした。

ハピネスさんは体重が55キログラムもある大きな女の子で重ねた年齢も相まって穏やかな優しいジャーマンシェパードでした。

ハピネスさんの小さい頃は猫を見れば吠えて、追いかけて…猫と仲良くできる日が来るなんて夢にも思わなかったのにある出来事をきっかけにハピネスさんは「猫」という存在を愛おしく思うようになっていたのでした。

道路の真ん中に佇む「えな」さんとの出逢い

桜が満開に咲き始めたころ、ハピネスさんといつものように夜のお散歩に出かけたところ、ハピネスさんが道路の真ん中で何かを見つけたようで立ち止まっていました。

周囲に明かりはなく何を見つけたのかすぐには分からず、よく見てみると子猫でした。

当時のハピネスさんはお散歩コースにいる野良猫を見ると吠えて追いかけまわしていたのですが、なぜかこの子猫には吠えることすらしなかったのです。

時間は深夜0時を過ぎていました。

お散歩コース周辺には野良猫が多くいるのですが、初めて見る子でした。

そして、この子猫は道路の真ん中にいるのに一向に動こうとしないのです。ひとまず安全な場所に移動させようと抱きかかえ別の場所に降ろした途端、子猫が嘔吐しはじめたのです。

このままひとりにしておくと命の危険があると思い自宅に連れ帰って一晩様子を見ることにしました。

翌朝すぐに病院へ連れていき診察してもらったところ、この子は子猫ではなく体重が1キログラムほどしかない極度に瘦せ細った老猫でした。そして様々な病気に冒されていることも判明し、おむつは必須、今はただ体力を回復させることに専念するようアドバイスをもらい帰宅しました。

生命力を取り戻し元気になってほしいという想いを込めてこの猫にENERGY(エナジー)から「えな」さんと名付けました。

えなさんとハピネスさんは果たしてうまく生活できるのか心配でしたが杞憂に終わりました。

えなさんは最初は猫用のサークルで過ごしていたのですがしきりに外に出ようとするため、ハピネスさんが踏みつけないように注意をしながらサークルの外で過ごさせるようにしました。すると、驚くことにえなさんはハピネスさんに動じることなく、まるでこれまでずっと一緒に暮らしてきたかのように部屋の中を歩き回りはじめたのです。以前生活していたお家にワンちゃんがいたのかもしれません。

それからハピネスさんとえなさんはいつも一緒にいるようになりました。

えなさんがウロウロすれば、ハピネスさんも後をついてウロウロ。

ハピネスさんが横になると、えなさんもその近くでゴロン。

当時、ハピネスさんは脾臓破裂の手術を受けた後に血管肉腫という病に罹り、日に日に元気がなくなっていたのですが、えなさんが我が家に来て元気を取り戻しているようでした。

しかし、微笑ましい幸せな時間はそう長くは続きませんでした。

えなさんとの別れ

我が家に来て7日後、えなさんはお空に旅立ってしましました。

動かなくなったえなさんにハピネスさんはクンクンと泣きながらまるで「起きて!」と言っているかのように鼻やでえなさんをつつき起きるのを待っているかのようでした。

えなさんがいなくなった後もなかなかサークルを片づける気になれず、そのままにしているとハピネスさんはまだその中にえなさんがいると思っているのが、前足でサークルをガシャガシャとする日々が続きました。

しばらくしてハピネスさんはえなさんがいないことが分かったのか、次第に元気がなくなっていきました。

そんな中、出会ったのがノルウェージャンフォレストキャットのネルさんでした。

ノルウェージャンフォレストキャットのネルさんとの出逢い

エネルギーに満ち溢れた幸せな日々を過ごしてほしいという想いを込めてENERGY(エネルギー)から「ネル」さんと名付けました。

ネルさんをお迎えした初日、ハピネスさんは大喜びで尻尾をブンブン振って飛び跳ねて大歓迎でしたが、ネルさんは初めて見る犬という生き物、ジャーマンシェパードという生き物に命の危険しか感じなかったのでしょう。終始強烈な威嚇モードで「シャー!!」という声だけでなく「ペペッ!!」と唾を吐くような声すら出していました。

えなさんの件で静まり返っていた我が家がワンワン、シャーシャーと一気に賑やかになったものの、これからいったいどうなることやらと頭を抱える日々が一週間ほど続きました。

そんなある日、ネルさんがハピネスさんに威嚇しなくなっていたのです。

次第に彼女たちの雰囲気が和やかに変わっていき、ハピネスさんを安全な生き物と理解したのか、ネルさんは次第にハピネスさんにいたずらをするようになっていったのでした。

遠くから走ってきて猫パンチをして逃げる、寝ているハピネスさんの尻尾や足をおもちゃ代わりにしてかじる…

そんなネルさんのいたずらもハピネスさんは気にすることなくやさしく見守ってあげていました。

ふたりの距離はどんどん縮まり、ネルさんはハピネスさんをまるで母猫と思っているかのようにべったりとくっついて生活するようになったのでした。

ハピネスさんとの別れ

ネルさんをお迎えして4か月が過ぎたころ、元気を取り戻しつつあったハピネスさんが子宮蓄膿症になり、その手術後に血管肉腫からの腎臓悪性腫瘍が悪化しお空に旅立ってしまいました。

11年1か月、人生を共に過ごしてきたハピネスさんという大きな存在が家の中から消えて、でも家の中を見渡すとハピネスさんが過ごしていた大きなクレートやたくさん遊んで壊れたおもちゃ、明日また食べるはずだった封の開いたおやつなどはそのまま。しばらくはその現実を受け入れることができませんでした。

それは私たち家族だけではなくネルさんも同じでした。

ネルさんはハピネスさんが家のどこかにいると思っていたのか、毎日のように家の中を探し回っていました。特に、玄関の扉や窓をしきりに引っかいて。まるで、外に行けばハピネスさんが待っているかもしれないと思っているかのようでした。

ハピネスさん。

あなた自身が幸せにあふれますように。あなたの名前を呼んだ人、あなたの名前を聞いた人もたくさんのしあわせにあふれますように。そしてあなたがお空に旅立っても悲しむことなくあなたがくれた幸せをつなげて生きていけるように。そんな想いを込めた名前でした。

スマイルさんとの出逢い

心にも空間にもぽっかり穴が開いてしまったかのような生活を卒業してハピネスさんがくれた幸せをつなげるべく、私たちは再びジャーマンシェパードを迎え入れることにしました。

ジャーマンシェパードは毛足の短い子と長い子に分かれていて、ハピネスさんは毛足が長い子でした。

次にお迎えする子も毛足の長い子が希望だったのですが、生まれる確率がかなり低いためすぐには見つからないだろうという予想から気長に探すつもりでブリーダーさんのお宅を訪れたところ、偶然にもそこで出会ったのが「スマイル」さんでした。

ブリーダーさんのお宅ではスマイルさんを含め毛足の長い子を2頭紹介されたのですが、なぜかスマイルさんの方がずっと私たちに駆け寄ってきていたのです。そして、どことなくハピネスさんに似ていたことからお迎えを決意したのでした。

お迎えすることを決意したものの、やはり心配だったのはネルさん。

スマイルさんはハピネスさんとは全く違う存在。年齢も大きさも性格も何もかも。ふたりが仲良くしてくれることを祈りつつお迎えの日を待つことにしました。

ネルさんとスマイルさん初めての対面

いよいよ、スマイルさんをお迎えする日がやってきました。

スマイルさんにとっては、猫という存在そのものが初めて。

犬にとって、猫はどこか得体の知れない生き物。匂いも違うし、動きも俊敏。小さい頃のハピネスさん同様追いかけまわさないかとても不安でした。

一方、ネルさんもハピネスさんと過ごした日々があるとはいえスマイルさんは初めて見る生き物。

威嚇して逃げ回らないかこちらも心配で仕方ありませんでした。

そして迎えた初対面。

ネルさんは興味津々、スマイルさんは緊張で固まるという予想外の展開となったのでした。

ネルさんとスマイルさん予想外の展開

スマイルさんはお迎えしてすぐにサークルに入れ、慣れた頃合いを見てネルさんと合わせることにしました。

サークルに近寄るネルさんに緊張するスマイルさん。

スマイルさんの様子に構うことなくネルさんはハピネスさんの存在を思い出しているのか、それともただ新しい仲間に興味があるのか、スマイルさんにどんどん近づいていきました。少し警戒していたのか尻尾の毛がいつもよりふんわりしていたのがかわいらしく思えました。

サークルに接近したネルさんについにスマイルさんの緊張の糸が途切れたのか粗相をしてしまいました。スマイルさんの方が吠えて威嚇すると思った予想は大外れ。その後もスマイルさんは緊張で固まったままの状態がしばらく続きました。

ネルさんはそんなスマイルさんの反応に対して特に驚いた様子もなく、むしろ「どうしてそんなに怖がっているの?もう少し近づいてからのご挨拶がいいかしら」とでも言いたげに、さらに近づいていくのでした。

そしてネルさん。スマイルさんとお近づきになりたい気持ちが大きすぎたのか、スマイルさんのクレートの上に飛び乗りさらに近づいていってしまいました。

スマイルさんがネルさんを怖がっていることすら気にしない様子で、ネルさんはこともあろうにスマイルさんのクレートを占拠してしまったのです。

スマイルさんはただただ困惑しているようでした。

ネルさんとスマイルさんとハピネスな日々

ネルさんが大きなワンちゃんに慣れているとはいえ何があるかわかりません。まだ幼い彼女たちの安全を第一にしっかり優しく成長を見守っていきたいと思います。

トイレトレーニングにしつけに…課題もたくさんありますが、これからどんなハピネスな日々が繰り広げられるのかとっても楽しみです。

ここまでお読みいただいたみなさまにもぜひ一緒にネルさんとスマイルさんの成長を見守っていただけますと嬉しいです。